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工藤吉生@短歌 @tanka@friends.nico

「死体をはげます」
あらかじめ壊れるようにつくられたスマホ充電コードや人間

泣いている子が笑わされそのことをなしにするべくより強く泣く

いいことを考えついていいことであること以外忘れてしまう

眠るため消した電気だ。悲しみを思い返して泣くためじゃない

サスペンスドラマの死体に(動くなよ)(うまくやれよ)と励ます心

レーズンの埋まったパンはガキのころさわった岩を思い出させる

「三千回目の再会」

「工藤さん」で検索すればオレじゃない工藤さん達慕われている

いいとこで漫画が終わりその次を読むため鍵を自転車に差す

聞き入れる必要のない泣き声をなお耳は入れ脳認識す

なつかしのアニメ特集番組にマルコ三千回目の再会

「青春の旅」と言われてそんなのがあった気がしたトンネルの中

なんのツボなのか忘れた親指と人さし指のあいだ揉みこむ

「頭痛世界」

朝の陽のまぶしすぎれば回想のようで遠くに自転車のひと

庭を行くオレにちょうちょがついてきたように見えてた時間があった

世の中のすべてのことを箱に入れならべかえたりして過ごしたい

頭痛する箇所をかたどる指により頭痛世界に陸地が浮かぶ

カラオケは健康にいいと言い張ってカラオケに誘う男の声だ

税抜きにすれば安いが税込みになればそうでもない工藤です

「ゴチャゴチャのゴチャ」

カサブタは触っちゃダメと言ってくれたミナコちゃん、オレまだいじってる

呪いにも似ているジョーク呪わずにいられなかった人の横顔

被害者の知人女性が心情を吐露し画面はその胸映す

その人に近づくほどにその人のオレの視界に占める割合

ゴチャゴチャな室内だろうゴチャゴチャのゴチャが外から見えている家

広告を白いよだれのようにして101のドアの昏睡

立ち小便をしている人を二階から見ている 音をたてないように

たった今、今の今まで持っていたペンをどこかになくしてしまう

このへんにお店があった。今はない。ゴルフの素振りの人はまだいる

「さみしい」と膝を抱えてつぶやいた君がドラマの場面そっくり

どの店に行ってもそこのスタッフが自分につとまるかが気がかりだ

だらしなさを音にしながらぺったんこぺったんこサンダルの午後五時

ゴミ箱があると信じている場所へ投げつけそれに背を向けて寝る

爽快な速さになってくる位置に「スピード落とせ」の看板はある

「愛と暴力」

この愛は純度10パーセントほど のこり90暴力である

ローソンにいい店員と悪い店員 いい店員で会計済ます

五秒ほど寿命が縮まったと言われそれ相応に謝っておく

ひとつだけ悪く言われたそのことで彼を悪口専門家とする

オレに似た人がこんなにいやらしいものか深夜の便器へと吐く

水面に映るマンションちょっとした風で崩れる全面的に

「歯痛短歌」

歯が痛みはじめたことで生活のまんなか黒いものがひろがる

仕方なく電話入れれば診療は二日後となり二日を痛む

なんらかの規則によって歯痛には強弱があり現在は中

これほどの歯痛に耐えているオレに世界はいやらしいほどしずか

左手と右手のミニカーぶつけあう一人遊びの弟の笑み

「はらはら腹」

歯科医療器具の中には暴走族のバイクの音で動くものあり

はらはらと舞い降りてきた蚊が腹に止まってオレはオレの腹打つ

プリンセスプリンセスのことを略すときンセスンセスという裏世界

脇役のようにたたずむ 地下鉄のホームの隅で咳をしながら

ひたいからあごへてのひら降りるとき猫の居る場所もっとも涼しい

のぞく気はないが野球のアカウントばかりをフォローしている人だ

「へばりつく汚点」

うっかりと入っていくと晩飯がふるまわれそうな灯かりの家だ

筆記体の雲が呼んでる夕空へ死後に行けたらきっと素敵だ

まず型を身につけそれを壊そうと言った自分の歯の裏なめる

広告の集合である球場のすごくゆっくりしたファインプレー

夕闇に汚点のようにへばりつく校章を持ちわが校舎立つ

ヨーグルトを容器とフタとスプーンとスプーン袋にして食べ終える

「回想のひと」

朝の陽のまぶしすぎれば回想のようで遠くに自転車のひと

人生に形式はあり逸脱の日ごと広がり心もとなし

目の前に吊革がある吊革の等間隔にさびしさがある

六月の十四日夜 今シーズン初のバルサン直撃ジェット

何をしても誰かの真似になる不安とっくのとうに言い尽くされた

今朝の毎日新聞の毎日歌壇に短歌を掲載していただきました。

「つながれている脳みそ」

タリラリラン春さんざめくルーベンスここで会ったがすれちがうのみ

くす玉がひらいたままだおめでとう実にしずかなフロアーである

機械にもなったんだけど人間に戻る技術ができヒトがえり

スズメから落ちた涙でつくられたオレの良心ですひさしぶり

マイケルという名の知人はいないんだルーシーもいない晴雄ならいる

産廃を参拝しないタラバガニたられば言わないオレは折れない

夜の中を立っている木だ朝立っているのと同じつもりらしいぞ

家にあるものを使ってできるだけさっきのことを忘れる方法

ロドリゲス言ってみただけワシントンDCちょっと言ってみただけ

箱があるそこで体が真っ二つ手品師と見せかけて首相だ

トンネルだ出口だ海だ端的に言えばつながれている脳みそ

ドラえもんニセ最終回 植物になったのび太の上、夏の雲

一日が毎日あればとろろ食うたびに歌おうとなりのトトロ