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工藤吉生@短歌 @tanka@friends.nico

「ヘナ」

本日のトイレのカレンダーは言う「逆境に耐えよ」ハイそうします

宮城県公安委員会指定奥羽自動車学校も朝

踏み切りの不協和音のほのぼのと響いて冬の自動車学校

点滅の青信号に止まろうとするオレ、突っ走ろうとする君

まどぎわの人形たちは一日中そとを見ている窓ガラス越し

ヘナ 文字が窓に大きく書いてある思わず二度見してしまう ヘナ

目の前にひとの財布が置いてありそれほどじゃない自分に気づく

「体でふさぐ」

カーテンをズシャッとひらくああ朝のさえない霧のかかる五丁目

やらないでいるとますます先鋭になってゆくギャグ胸中のギャグ

宣伝のためのうちわが置いてある四月のくさい部屋に肘つく

どうしても言われたくない欠点を見ない見せない体でふさぐ

順調にかわいがってたはずの手に噛みつく猫のキバの見事さ

そうならんようにしねェと成り立たん。金の話だ、なくなるカネの

母親に無理にやらせたファミコンを思い出す十九時に目覚めて

見下ろしてみても真っ暗だけれどもきびしい水の音が呼んでいる

「メン子ちゃんゼリー」

啜り終え午後の五月のメン子ちゃん透ける容器の凹凸ころぶ

複雑な遊びらしくて遠ざかるオレにこどもの声のくどくど

本物の道草だった男の子ふたりが草をちぎり駆け出す

すごろくで一回休みになった子の不満をオレはもう感じない

歯の抜ける夢はよく見るけど今朝のやつは三位以内に入る

からだには傷がないけどこころにはあると笑っているいつまでも

マネキンに並んで立ってみたオレのどうせおんなじだろって顔だ

教科書の表紙みたいにおとなしい森林とその上の空、雲

行く道に聴いたピアノの帰りには店内BGMと気づいた

筋肉を初めてテカらせた人とそれを真似した大勢のひと

読売新聞の読売歌壇に短歌が掲載されています。毎日歌壇と読売歌壇の両方に掲載されました。

「四つ足のハアハア」

ひげそりのひりひりとして今日一日耐える痛みのまずは一つ目

くもりぞら ここから今日が始まるというんじゃ先が思いやられる

よく見てはいないがきっと犬だった繋がれて四つ足のハアハア

工藤さんは何を食べてもおいしいと言う、ってだってそうなんだもの

孫どころか子も妻もなく取り出した定規で背中がしがしと掻く

眠ったと思った人が起きていた頬杖の上に目がカッと開(あ)く

気がつけばすごい技術のフルートの曲が流れてまだ人を待つ

じゃれあって下校してくる三人の近づけば金銭の話だ

「全力の声」

灰色とにぶい緑の取り合わせを良いと思った帰りの道で

トラックに積まれた土砂をまじまじと見て納得に似た胸の内

とりたてて急ぐ用事のない道のうしろから鳴る濃いクラクション

真似をしているのではなく平凡なオレの出しうる全力の声

とりあえず「だって」と言ってみたものの特に言い訳できることなし

絶対に猫はインターネットでは非難されない エサをあげます

「しね」とのみ書かれた『お客様の声』事務所にあってチラッとは見た

人間を金に変換したならば金の流れるおもしろい店

実行犯射殺の裏で指示をした者の昨夜も今晩も無事

「カメラ目線」

扇風機は首を動かしオレよりも猫が涼しくなる角度まで

置いてから雑誌の表紙の人物のカメラ目線をひっくりかえす

自販機のペプシコーラに汗だくの頬で触れたよ青春みたく

ころがっている空き缶さ、ねえ君さ、そろそろそういうのはやめないか

色合いで子供用だとわかるのだこどものいろはあざやかないろ

拳銃を持ってるんだという顔でまさぐっているポケットの空(くう)

警戒の顔をしている店員で会計をする罪悪感よ

注意され、注意されたくないことがわかる返事をしてはずかしい

現実の虫のわずかが部屋中に虫の蠢く悪夢を見せる

詩歌詐欺 詩歌詐欺詐欺詐欺詐欺詐欺詐欺詐欺詐欺詐欺詐欺詐欺詐欺詐欺

今日発売の「野性時代」11月号の「野性歌壇」に短歌一首が佳作で掲載されています。

「ろうろうぬ」

ダン! ぱからなからぱくなるたくらむぬさかさきさくぞ ダン! ささくなむ

ろうろうぬ。ぬろになぬなるあむらにのおうろもろにのおう、ろうろうぬ。

すす ヲヲヲ なにもしらない すすヲヲヲ わから ない すすヲヲヲいわない

デらるらねドろドぬダらぬドダるるねもうしないって言ってるでしょう!?

ふあんだよブアヌナヌナロくらやみはミヤノヤラグモけてすざげずげ

まーあちゃんごあいさつして(すざげずげ)ほらまーあちゃん(けてすざげずげ)

「夢想とびちる」

警官が近づいてきてオレの持つ夢想とびちる日暮れの街に

暮れかけの芝生に犬と飼い主はとどまっている時間とともに

日の沈むほうへ歩いて太陽のスパートにあう 秋のはじまり

内側の疲れほぐしている道を簡易トイレは運ばれてゆく

帯分数は習う必要ないという意見も載ってこども新聞

光源のせいで三つの影を持つ自分に慣れて中年になる

交差点を見下ろす位置の昼食にケンタッキーを一口こぼす

人生の喜怒哀楽は見下ろした交差点にはたちあらわれず

出勤に「スナック愛」を通過するつらく別れた人の名前だ

ここからは学習塾が覗けるぞ時計が見えるエアコンが見える

「まがまがしい力」

登校の中学生がわめき立つ「今日って席替えじゃん!」そりゃいいな

うすあおく追いかける者逃げる者蝶の世界に食い逃げあるか

つらすぎて笑っちゃうよというふうに朝の車道を枯葉ふらつく

通販のサイト見ている妹の背中しなやかアニマルに似る

ケーキ屋のケーキをおいしく見せるのは下からの白い照明とみた

厨房から客の様子を知るための窓であろうかタオルが見える

スーパーを出れば夜空の冷え込みのヘッドライトの風のしずけさ

ボロいなと思い見ていた住宅の中からワッと笑いごえ立つ

葬儀屋の内側で鳴るピアノだろう通過車両の音にまぎれて

まがまがしい力渦巻くパトカーの赤が無音で夜を照らせば

つらすぎて笑っちゃうよというふうに朝の車道を枯葉ふらつく

妄想は百万本の紅い薔薇をバルコニーから見下ろしている

おみこしになって元気な人達にかつがれたいな年に二回は

十一月下旬の大気に含まれる何かを吸ったオレのさびしさ